ベルト速度周期逆転によるオゾンMBs含有氷の連続製造: 最大／最小製氷量条件下での氷中に固定化されたオゾンMBs濃度の経時変化の検討

摘要

オゾンは殺菌と消臭効果を併せ持っており，生鮮食品に対してオゾンガスやオゾン水を使用することで鮮度保持が可能であると注目されている．しかし，オゾンの分解速度は速いため，効果の長期保持が課題となっている．そこでオゾンの殺菌·消臭効果の長期保持を目的としたオゾン氷に注目した．従来のオゾン氷の生成方法は，まず水にオゾンガスを溶解させオゾン水を生成する．その後オゾン水を凍結させることでオゾン氷を生成する．この時，圧力をかけてより多くのオゾンを水に溶解させる必要があり，圧力容器を使用する．そのため装置の大型化やコストが高くなるといったデメリットがある．そこでオゾン氷を安価かつ容易に生成出来れば，生鮮食品の鮮度保持技術に貢献できると考え，著者らの一人はマイクロバブル（MBs）に着目した．気泡径が数十μmのオゾンMBsを水中に発生させ、そのオゾンMBs含有水を銅冷却板で冷却し，凍結させることで氷中にオゾンガスを取り込hだオゾンMBs含有氷を生成した．この方法では圧力容器を必要とせず，生成できる氷には溶存オゾンと氷中に取り込hだオゾンガスが含まれているため，高濃度のオゾン氷が生成可能である．そして，生成したオゾンMBs含有氷の氷中に固定化されたオゾンMBs濃度は生成してから7[days]後でも殺菌に必要な濃度を有していることを明らかにした．しかし，簡易的なこの装置では連続的な製氷は向いていない．効率よくMBsを取り込みながら氷を生成するには，氷厚さを制御することが大前提である．そこで，著者らの一人はステンレスベルトを銅冷却板の周りに包むように設置し，ベルトを一方向に回転させて製氷を行うことで連続的かつ効率的にMBsを氷中に取り込むことが可能な連続製造装置を開発した．そして生成された氷中のオゾンMBs濃度の特性を明らかにした．また，ベルトの回転方向を交互に順·逆方向に周期的に変えながら製氷（周期逆転実験）を行った結果，従来のベルトを一定方向に回転させて製氷(速度一定実験）を行った結果よりも製氷量と気泡含有率が増加することを明らかにした．本実験ではこの周期逆転実験を用いて，製氷量と気泡含有率が最大·最小になる条件で生成したオゾン氷中に固定化されたオゾンMBs濃度の経時変化を測定し，連続製造した氷中のオゾンMBs濃度の経時変化と比較検討した．