HFC系冷媒R143aの高精度熱力学状態方程式の開発－第3ビリアル係数の挙動を考慮して

摘要

現在HFC系冷媒R143aは、冷凍空調機器の作動流体として大きな役割を担っている。冷凍機用の代替冷媒であるR507Aは、R125とR143aの混合冷媒である。 冷媒を機器に適用する際には蒸発器から圧縮機入口までの伝熱、熱力学および流体力学に関する検討の基礎情報として、低温域の比熱の値が非常に重要となる。 しかし、従来までに報告された熱力学状態方程式では、各状態式でその計算値に場合によっては5％以上の相違が見られる。 特に気相域の飽和点近傍でその相違が大きい。 これは各状態式で計算される第3ビリアル係数の挙動に起因していることを本研究グループでは明らかにしている。 本報告ではR143aの第3ビリアル係数に関して統計熱力学を考慮した値を採用することで、現在の国際状態式よりも高精度な状態式を開発したので報告する。