温排水の熱エネルギーを利用した高温蒸気発生成低GWP冷媒2段サイクルの開発

摘要

東日本大震災以降，更なるエネルギーコストとCO_2排出量の削減が求められている.そのため，産業分野における蒸気供給システムでは，従来からボイラの高効率化が進められている.しかし，工場内においては，ボイラから蒸気利用プロセスまでの距離が長く，蒸気配管損失として多くの熱エネルギーが失われている.また，プロセスでの蒸気利用後に生じる蒸気ドレンは，その保有する熱エネルギーが未利用のまま排出されている問題がある.そのため近年，これまで進hでいなかった100°C未満の低温排熱の有効利用によるエネルギーコストおよびCO_2排出量の削減が注目されている[1][2].このような背景の中，筆者らは未利用ドレンなどの熱エネルギーを利用して蒸気を生成し，ボイラ蒸気の使用量を減少させることでエネルギーコストの削減を狙った120°C蒸気生成ヒートポンプシステムを開発·製品化してきた[3]. 本報では，最適な機器構成や運転条件を検討するにあたり，様々なサイクルを比較することで，高効率サイクルの選定を行った.また，実験と数値シミュレーションにより，中間圧力とCOPの関係を明らかにした.