モーションベース②：パラレルメカニズムを用いた3次元曲げ加工機と加工形状の計測

摘要

近年、省エネルギー、省資源といった地球環境問題に対応するため、軽くて丈夫でリサイクル可能な工業製品のニーズが増えている。 これに伴い、自動車構造部材や精密機械部品の加工用として、強度が高く軽量な中空アルミ押し出し管材やマグネシウム管材（円管材や異形管材）の3次元曲げ加工技術の確立が強く望まれている。 従来、ダイス駆動部にジャイロ方式を採用し、一度に3次元の曲げ加工が可能なマルチベンダーと呼ばれる曲げ加工装置がある。 しかし、従来型のメカニズムにより多自由度·高剛性を追求した結果、ダイス駆動部を含む加工機全体が大型·複雑で高価となっている。本稿で紹介するパラレルメカニズムを用いた3次元曲げ加工機は、加工ヘッド部の高剛性、容易な制御性、優れた応答性の特長を生かし、簡単な操作で、高精度な曲げ加工が可能である。 さらに、小型軽量で、安価であると共に、自由な3次元形状で、かつ、ねじりも複合した形状への加工も可能な装置であり、現在切望されている産業界のニーズに合致した次世代の曲げ加工機として大きな期待が寄せられている。 この加工機は、平成14年より（独）新エネルギー·産業技術総合開発機構の援助の下、東京工科大学の一柳健教授を研究開発代表者とした「大学発事業創出実用化研究開発事業」の一環として開発が行われ、現在、㈱菊池製作所により事業化が進められている。 著者はこの加工機の開発における「形状計測と補正」の研究開発に関わり、加工機の特性を考慮した曲げ加工形状の同定法を確立した。 ここでは、この3次元曲げ加工機と加工形状の画像計測について、開発のプロセスなどを追いながら解説する。