溝付きおよび二重巻きスプリングピン（第8回）：Grooved and Coiled Spring pins

摘要

スプリングピンは，ピンのばね作用で相手穴に張力を与えることにより自己保持でき，JIS B 1354平行ピンのように相手穴寸法を高精度に仕上げる必要がないため機械部品の締結に広く使用されており，図1～3に示すように基本的には，ジョイント締結での引張または圧縮荷重の伝達，軸とボスの締結でのトルクの伝達，ヒンジのような片方固定他端自由の締結に用いられている．溝付きスプリングピンは1966年にJIS B2808スプリングピンが制定された．一方二重巻きスプリングピンはISO8748（Spring-type Straight pin-Coiled，heavy duty），ISO8750，ISO8751として重荷重用，一般用，軽荷重用が規格化されているが，日本では実情調査結果，生産および使用実績に乏しいためJIS規格化は見送られてきたが，日本ばね工業会（JSMA）ではスプリングピンの規格制定にあたり，国際的に十分対応できる規格をめざしてこれを追加してJSMA SC001溝付きおよび二重巻きスプリングピンとして2001年に制定をした．本稿では，スプリングピン自体の技術背景を，最新の技術を含め紹介する．