製造業のための中国文化入門 第18回 中国の宗教 その3

摘要

道家は老荘思想で無神論の哲学である。道教は道家と混同しやすいが，多くの人格神の存在を信じる宗教である。老子は無為自然のままに生きようとするもので，生命を大切にして結果として，長生を得ることにつながるという立場。一方，長生不死を目的とする神仙術の立場の道教は，儒教の孔子や仏教の釈迦に相当する教祖が必要で，老子を教祖としてしまったが，老子は無神論者で宗教とはまったく関係ない。道教はもともとは中国古来のシャーマニズム的呪術的自然宗教で，大衆（学問などしない民衆）のためのもの。多種多彩で，どの範囲を道教と定義するのか難しい。なお，道教では道教寺院を「観」という。僧侶を「道士」と呼ぶ。