エンジニアリングの新たな潮流 バーチャルエンジニアリングの衝撃 第16回 CAE活用マネジメントとバーチャルエンジニアリング

摘要

前回記述したが，21世紀になり，CAD·CAM·CAEが同一デジタル環境として連携した活用が可能となった。3次元モデルを共通化することで，製品開発の流れを示す，創造·構想設計·機能仕様検討·量産検討·営業活動の各段階の連携をもたらした。特に，共通の3次元モデルを一貫して活用することで，CAEを用いて各段階，分野ごとの検計，決定を行うことができ，その結果を共通の3次元モデルに表現し，ほかの分野へ受け渡すことができる。従来は，各分野のCAEのモデルは設計モデルとの共通化がされてなかったため，CAE解析結果をそのまま設計モデルに反映するのは簡便でなかった。このため，検討結果を連携させ，設計仕様を成長させることは難しかった。3次元モデルの共通化は，製品の設計仕様，製造要件などを設計段階でステップ分けして検討すること，最終仕様を決定するまで仕様成長させることを可能にした。その設計段階でのCAEの活用方法のマネジメントの話題が，欧州中心のコンファレンスなどで10年近く前まで議論されていた。最近は，この話が聞こえてこないが，欧州の設計事務所などの対応を見ると，すでに普及し終えたと思われる。今回は，CAE解析を通じて，仕様を成長させるマネジメントの一部を紹介したい。