太古の木製ねじから使用拡大一途のボールねじまで（17）－超精密位置決め その2：ボールねじを使用したナノメートルレベル位置決め装置の筆者の初期事例

摘要

本稿では，1980年代にボールねじの研究からボールねじによる精密·超精密位置決めに研究を転換した筆者の例をまず紹介させていただく．2000 年頃までは，ナノメートルレベルの超精密位置決め装置製造にトライする研究者や企業がいくつかあったが，商売としてはまだ大きな利益を上げるに至らなかった．しかし，2000年2月にアメリカのクリントン大統領が一般教書演説で「ナノテクノロジーで第2の産業革命を起こす」と発言してから，にわかにナノレベルの超精密位置決めはITブーム，光通信などの分野でナノテクブームが起きた．そのブームに乗って，筆者らが当時の経済産業省からの助成金で行った「1nm位置決めと加工」のうち，ベンチャー企業であったシグマテック（株）が，小型ステージを数年間かけて開発し，いまやナノレベル位置決め装置で一人勝ちしている．その開発例については，次稿で述べる．