Boundary ClockとSynchronous Ethernet併用時におけるIEEE1588の同期精度

摘要

Boundary Clockは，IP/Ethernet上でサブマイクロ秒程度の時刻同期を実現するプロコトルであるPTP （IEEE1588）のバックグランドトラフィック存在時における同期精度改善手法である．またPTPによる時刻同期が不可能になることを想定して，PHY層を用いた周波数同期手法であるSynchronous Ethernetを併用することがある．しかし，これらを用いたときの同期精度について共通化されたテストケースとトポロジ，そして同期精度指標で検証されていない．このため各技術が同期精度改善に寄与する度合いを比較することが困難である．本稿では共通化されたテストケースとして，ITU-T G.8261で勧告されているネットワークトポロジとテストケースを使用し，また同期精度指標としてIEEE1588で定義されている同期精度の指標を用いてBoundary ClockとSynchronous Ethernetを用いたときの同期精度について検証した．検証の結果，すべてのネットワークノードでBoundary Clockが有効の場合，100ナノ秒程度の同期精度を実現することが明らかになった．一方1台でもBoundary Clockを使用しないと同期精度は4マイクロ秒程度まで劣化した．Synchronous Ethernetを併用したときの同期精度は400ナノ秒程度であることが明らかになった．