5-6歳児における評判への関心－良い評判と悪い評判の違いの検討

摘要

我々は周囲からの自分に対する評判に関心を持ち，自身の評判を良いものにしようと行動を調整している（評判換作）。本研究では，評判操作に関して2点の検証を行った。1点目は，5-6歳児が周囲からの評判に関心をもっているのか，つまり自分の良い評判が立っように，また悪い評判が伝播しないように評判操作をするのかどうかを検証した。さらに，成人の研究では直接の監視ではなく，目の絵のような些細な刺激にも敏感となり行動に影響が出ることが知られている。目的の2点目は，目の刺激が5-6歳児でも有効であるかを検証することであった。実験1において，自分のシールを他者に提供することで良い評判を求めるかを検証したところ，大人観察者，目の刺激，観察者なしの3条件で有意な遣いはみられなかった。実験2では，他人のシールを取るかどうか，つまり悪い評判を避けようとするかを検討した。その結果，大人から見られている場合に，シールを自分のものにする傾向が低くなった。これらの結果から，子どもは目の効果によって行動を調整していなかったが，悪い評判に対して関心を持ち，他者から見られている際に方略的に評判操作を行うことが示された。