分散協調ストレージにおけるスケーラブルなオブジェクト複製配置手法の検討

摘要

我々は以前よりP2P技術を用いた分散協調ストレージシステムを提案している．分散協調ストレージは，ピアが自己組織的にアプリケーションレベルのオーバレイネットワークを形成し，それぞれのピアがハッシュ値の特定の範囲を管理する．そして，オブジェクトから取得したハッシュ値を用いて，それを管理するピアにオブジェクトを蓄積する．一般的に，P2Pネットワークでは，オブジェクトに対する高アベイラビリティのために，複製を複数配置する．しかし，その数は固定であり，ネットワークの規模に適した最適な数ではない．また，我々の従来の手法では，オブジェクトの複製を管理するグループを作成していたが，グループサイズはネットワークの規模に関係なく，固定数であったため，小規模なネットワークでは余分なデータ量となり，逆に，大規模なネットワークでは，少ないデータ量となる可能性が多い．また，システム初期化の際に適切な固定数を見積もることは難しい．本稿では，オブジェクトの複整数がネットワークの規模に適応して配置される，分散区間木(Distributed Interval Trees)手法を提案する．