音声呼のIMS－回線交換間ハンドオーバ方式の改善提案 移動機能力に基づく在圏アンカー型SRVCC方式

摘要

2010年末より，LTE （Long Term Evolution）無線による次世代高速データ通信サービスが開始された．LTE無線およびこれを収容するコアネットワーク（EPC: Evolved Packet Core）は，伝送効率の向上を狙いパケット交換に特化れした次世代移動通信ネットワークである．そのため，LTE無線上での音声サービス（VoLTE: Voice over LTE）の提供は，IP上で多種多様なマルチメディアサービスを提供するIMS （IP Multimedia Subsystem）により実現される．一方，LTE導入当初は無線エリアが十分でないため，VoLTE通信中の移動機が，3G無線のみ利用可能なエリアへ移動するケースが想定される．ここで，VoLTEによる音声呼を回線交換へハンドオーバさせる技術として，移動機のホーム網に配置されるIMSが切り替え制御を行うSRVCC （Single Radio Voice Call Continuity）がある．また，SRVCCのハンドオーバ遅延時間の改善を目指す，eSRVCC （enhanced SRVCC）が3GPP （3rd Generation Partnership Project）において検討されている．eSRVCCは，LTE無線上での発着信呼について，音声メディアデータを移動機の在圏網にて中継（アンカー）し，その切り替え制御も在圏網で実施する．本稿では，eSRVCCにおけるアンカー制御課題を明らかにし，移動機の能力等を考慮した柔軟なアンカー制御方式を提案する．