全方位映像に対応した立体音生成のための音響信号統合法の検討

摘要

立体音響は3次元的な音響空間を収録·再現する技術であり，音の方向や距離などが再現できる．一方，視覚においては全天球映像の撮影·再生技術により，観光名所や街並みを任意の視点で眺めることが可能となった．この全天球映像に立体音を付与することができれば，より臨場感の高い「場」の収録·再生か可能となると考えられる．そこで本研究では，複数くぼみを持つ球状の立体音収録システムを用いて，全天球映像に立体音を付与する手法を検討する．複数のくぼみ内の受音点において収録した信号の重みづけ和をとることで，任意の視線方向に対応する立体音を生成する手法について検討し，重み関数を変えた場合について，スペクトル歪評価尺度により評価した．実験の結果，スプライン曲線を用いた重み関数を用いた場合にスペクトル歪の平均値は3.1dBとなり最も良い値となった．