［ポスター講演］192kHz／24bitハイレゾ録音を用いた寒気のする引っかき音の音響特性解析－聞こえる音と聞こえない音の関係

摘要

黒板のひつかき音は多くの人が嫌がる音の一つである．この世界中の多くの人々が不快に感じる“ひっかき音”は，黒板に傷を付ける時だけでなく，食器，金属，曇りガラスを擦った場合にも同様に発生する．この寒気のする引っかき音については，先駆的な研究としてHalpern（1986）らの報告があるが，現代の測定システムは飛躍的に進歩しており，近年ではいわゆるハイレゾ機器と呼ばれるような高分解能なデジタル測定システムを使用することができるようになってきている．本研究では，我々の研究グループが有する無響音室と24ビット／192kHz録音を組み合わせた低雑音下の高分解能測定システムを用いて，可聴音域を超えた周波数範囲でひっかき音を録音·解析する．その結果として，ひっかき音は，バイオリンなどの調波構造とは異なる音響的構造を有していることが明らかになった．さらに，ひっかき音を鳴らす際に生じるピークスペクトルは不規則に出現し，これらの音響的構造は可聴音帯域だけはなく，20.0kHzを超える可聴音域外の周波数帯においても同様に観測されていることがわかった．