異なる放射指向性を表現可能な球形スピーカに対する音響評価楽器音の放射パターンの再現性に関する検討

摘要

本研究グループでは，これまで，空間的な音響情報の伝達による臨場感や実在感の向上を目指し，異なる放射指向性を表現可能な球形スピーカを開発してきた。本研究では，この球形スピーカが，バイオリンとギターの実演奏音の放射指向性を，どの程度再現できるのかを音響的に評価した。放射指向性は，ある時刻ある周波数において得られる26方位の音圧分布にベクトル演算を適用することで定量化した。すなわち，音の放射方向，放射の強さ，変化量を，ベクトルの向き，ベクトルの大きさ，ベクトルのばらつき具合を見ることで調べた。その結果，球形スピーカは，1Boxスピーカに比べて，楽器音の放射指向性を良く再現できていることが分かった。特に，楽器音の放射方向の時間変化の特徴を良く再現できていることが分かった。