OHMテクノガイダンス：環境に優しい植物油変圧器

摘要

近年，電力機器に対して経済性の向上，コンパクト化のニーズとともに社会環境への配慮のニーズが高まっている．抽入変圧器では，鉱油と紙の租み合わせで絶縁と冷却を兼ね備えた複合絶縁を採用している．図1に変圧器の内部構造の概略を示す．一般に油入絶縁の弱点は主に油ギャップにあり，これが破壊の発端となっている．これは，油浸紙の比誘電率が鉱油に比べて1.5倍以上高いため，交流あるいはインパルス電圧を印加した場合，絶縁耐力の低い鉱油に電界が集中し，全体としての耐圧が向上できないという問題点があるためである．絶縁耐力を向上させる方法としては，紙と油の比誘電率差を小さくして油ギャップヘの電界集中を緩和する誘電率整合絶縁の適用が有効とされているが，耐油性の制約から，低誘電率の適切か由浸固体材料が得られないため実用化されないでいた．