2006年度の日本経済と為替相場展望

摘要

日本経済は現在，明確な景気拡大局面に入っている。 バブル崩壊以降の失われた15年間，長らく日本経済の楕癖と見なされてきた銀行の不良債権，企業の過剰設備，過剰雇用という3つの問題が解消された結果，06年度は民間内需を中心に堅調な景気拡大の動きが強化されるだろう（表1）。 この結果，06年度は消費者物価上昇率もマイナスからプラスに転じ，デフレ克服元年になると予想される。 現在の景気拡大局面は，02年1月から始まっているが，このまま景気の拡大が続けば，戦後最長の57ヶ月にわたる景気拡大を記録した60年代の「いざなぎ景気」を06年の秋には抜き去る。 06年度は，日本経済にとって，「国内民需主導」，「デフレ克服」，「戦後最長」の3つがキーワードになった景気拡大が達成される歴史的な年になると判断される。 今後の日本経済の拡大を支える2つの大きな柱は，企業の設備投資と家計部門の個人消費及び住宅投資だ。 長期にわたる景気拡大の結果，内閣府のアンケート調査では，企業の中期期待成長率は上昇している（図1）。 現在企業の手元流動性は非常に潤沢であり，これまで抑制されてきた更新投資も復活するだろう。一方，家計部門の需要については，日本がこれから人口減少社会に突入することが懸念材料として挙げられているが，総務省の推計に拠れば，人口が減り始めても世帯数は向こう10年程度，増加し続けると予想されている（図2）。 住宅投資の減少はずいぶh先のことにをるだろう。 資産デフレ懸念が解消され始めたことや新卒の採用が増え始めたことを，個人消費や住宅投資にとってはプラスの要因だ。