最近の機能性塗料·コーティングのトレンドと今後の動向

摘要

21世紀に入ってコーティング技術は大きな変化を見せている。 その動きを一言で言えば，「環境適合化」と「高機能化」である。 前者に関しては，欧米において活発に進められている環境対策が無視できない情勢となり，「環境負荷の大きな物質は使用しない」技術に対する要求が増大している。 特に揮発性有機化合物（VOC）は，大気中でNOxの存在下で強い紫外線によって光化学オキシダント汚染を引き起こすため，1960年代より米国をはじめとする世界各国でその使用を制限する規制が進み，1992年には国連環境計画（UNEP）による「VOCによる広範囲の越境する大気汚染に係（かか）わる議定署」が締結されるに至った。 また，地球温暖化を防ぐために「気候変動に関する国際連合枠組条約」が1992年に採択され，その京都議定書が2005年2月16日に発効した。大気中の温室効果ガスの一種である二酸化炭素，メタン，亜酸化窒素，HFCs，PFCs，六フツ化硫黄について，先進国における削減率を1990年を基準として各国別に定め，共同で約束期間内に目標（日本は2008～2012年の間にマイナス6％）を達成することが求められている。