ボールクレーの鉱物学的および表面化学的性質

摘要

テネシー産ボールクレーのロット間には，鉱物組成，化学組成および粒度分布には可塑性を著しく損なうほどの差異が見られない。 しかし，可塑性不良ロットには可塑性良好なロットに比べて有機質が2％程度少ないことが判明した。 有機質の腐植酸量が少ない傾向は陽イオン交換容量に反映され可塑性の良いロットの18～19meq/100gに比べて，可塑性不良ロットでは約半分の8.6～9.5meq/100gを示した。 腐植酸の少ない原料では，粘土の分散を阻害する多価陽イオンの錯化による粘土の凝集抑制作用が低下するだけでなく，NaOH-NH_3系解膠剤添加に対するpH緩衝能が著しく低下する。 有機質の少ない粘土は，解膠剤の過剰添加により腐植酸が溶解·遊離して凝集する傾向を示す。 この結果，粘土の耐火物粒子表面への均質な被覆が困難となり，可塑性が十分に発揮されない。 このような可塑性不良な粘土に対しフミン酸を添加すると可塑性が回復されることが認められた。