Lunch Box法を応用した新しい大型定方位地層採取装置，ACEライナーの開発

摘要

我々の主な生活面である沖積低地の地層を採取し，その成り立ちを考えることは大変重要である。特に近年，地震·津波，地滑り，火山噴火等の自然災害の発生時期や間隔を見積もる地質学的研究が活発に行われつつある。 こ在らの研究を実施するにあたって，浅層地下における未固績の砂礫層や土壌を定方位·不撹乱の状態で，迅速に，かつ安価で試料採取できることが望ましい。未固箔堆積物の「乱れの少ない」柱状試料採取方法については，様々な地層採取装置が考案され実用化されてきた。 例えば，固定ピストン式シンウォールサンプラーやロータリー式二重管サンプラー（いわゆるデニソン型サンプラー）等のシンウォールサンプラー，軟岩用のロータリー式スリーブ内蔵二重管式サンプラー（コアパックサンプラー），ロータリー式チューブサンプリング（多重管サンプラー）などが使用されている（地盤工学会，2004；第1表）。 これら従来の工法による地層採取作業は，地盤に薄肉のサンプラーを押し込む方式あるいはロータリー式のビットで掘削しながら，そのわずか先にサンプラーを突出させる方式である。 押し込み式工法では定方位試料は採取できるが，管の壁周囲では荷重によって乱れが生じる。また，ロータリー式ビットを使用する方式では定方位かつ不撹乱で試料を採取することにやや難がある。