地球科学分野における国際単位系（SI）の使用：問題点と解決策

摘要

地球科学およびその関連分野（以下，地球科学分野と略記）に携わる方々の多くは，近年使用されている「単位」に疑問を持ったり不便を感じたり，というような経験をお持ちではないでしょうか？ これは，新しい計量法が1992年に成立し，学校教育，学術研究などで国際単位系（Le Systeme international d'unites，その最新版について以下現SIと略記）の使用が推奨されていることに起因している。 インターネット-WWW（以下WWWと略記）で調べたところ，これに関する問題提起がすでに行われている（例えば，長，1992）。 現SIは，物理学の大きな体系に基づいて統合的な単位系を構成しており，普遍性·一貫性，高精度化·絶対化などを特徴としている。そして，その使用の推奨に当たっては，「一量一単位の原則（理想）」が掲げられている（例えば，SI単位等普及推進委員会，1999）。 しかし，地球科学分野では，地球の実態-歴史の解明やその利用·保全を研究·応用の対象としており，現SIに沿ってはデータが合理的かつ分り易くは表現できない場合が少なくない。人間活動を主要対象とする経済·社会学的な分野などでも，同様の問題の存在が推測される。 参考として第1図に，複雑な現実世界においてSIと計量法が規定する範囲の概念図を示す。