カラー光弾性法による主応力方向の自動決定

摘要

光弾性法による応力解析の煩雑さを軽減するために，応力解析に必要な主応力差と主応力方向を等色線縞と等傾線縞から自動的に決定する，デジタル画像処理援用のデジタル光弾性法と呼ばれる方法が考案されてきた．このデジタル光弾性法により，主応力差と主応力方向は，自動的に精度よく決定できるようになった．しかしながら，主応力方向は，主応力差に比べて，精度よく決定できないという問題点がある．この理由は，(1)主応力方向を決定するときに使われる等傾線縞が，常に混在している等色線縞の影響を受けること（等傾線縞と等色線縞の干渉問題），(2)等傾線縞から得られた主応力方向は位相接続という処理をしなければ正しい主応力方向が得られないこと（位相接続問題），(3)物体内部や境界に存在する特異点の処理が困難なこと（特異点処理問題）による．これらの問題点を解決するためにいろいろな試みがなされている．著者らは，それらの問題点を解決する新しい方法を考案してきたが，ここでは，特に，等傾線縞と等色線縞の干渉問題を解決するために考案した，カラー光弾性法とこの方法と組み合わせて利用する位相接続問題と特異点処理問題を解決する方法を述べ，これらの方法を用いて自動的に決定した主応力方向の結果について紹介する．