人工衛星搭載用反射鏡アンテナの鏡面誤差評価

摘要

人工衛星を用いた通信·放送や電波天文観測のために，人工衛星に搭載された大型の反射鏡アンテナが利用されている．反射鏡アンテナでは，開口面積が大きいほど高い性能（アンテナゲインなど）を実現できるため，より大型の反射鏡が開発されており，例えば2006年に打ち上げられた技術試験衛星「きく8号」には，19m×17mからなる大型の展開アンテナが搭載されている．これらの反射鏡アンテナではその大きさとともに，鏡面の精度が重要となる．例えばパラボラアンテナでは，開口面から位相のそろった電波を鏡面部で反射させ給電部に導くが，この際，反射鏡形状に誤差があると，電波に位相差が生じアンテナ性能が低下してしまうこととなる．衛星搭載用反射鏡アンテナの開発では，一般的に最終的な性能は電波試験等により確認することとなるが，開発段階においては鏡面の形状計測を介した鏡面誤差評価が重要となる．ここでは，衛星搭載用反射鏡アンテナの鏡面誤差評価と，将来の高精度アンテナ実現に向けて著者らが取り組hでいる形状可変鏡システムについて紹介する．