アルキルスルホン酸塩帯電防止剤処理炭酸カルシウム充填ポリプロピレンの力学特性および電気特性

摘要

粒子に対して2,4,6wt％のアルキルスルホン酸塩（帯電防止剤）帯電防止剤処理CaCO{sub}3（平均粒子径0.9μm）の充填がPPの帯電防止機能に与える影響を複合材料の力学および電気特性の解析から考察した。試料破断面の走査型電子顕微鏡観察の結果，帯電防止剤処理によりCaCO{sub}3粒子はPP申に均一に分散していた。 複合材料の10日放置後の体積固有抵抗は帯電防止処理CaCO{sub}8を40wt％以上充填した場合試料の体積体積固有抵抗は10{sup}16·cm以上から10{sup}12Ω·cm以下へと低下した。 CaCO{sub}3を帯電防止剤で処理することにより試料の弾性率は低下した。 未処理CaCO{sub}3充填PPの降伏強度は粒子充填量増加にともない24MPaから17MPa（50wt％充填）まで低下した。 一方，帯電防止剤処理CaCO{sub}3ではその降伏強度は粒子充填量にともない40wt％までは同様に低下するが，それ以上の充填量でははば一定となった。 帯電防止剤処理粒子充填PPの衝撃強度はマトリックスの14kJ·m{sup}(-2)より大きく改善されおり，粒子充填量に依存していた。 最大衝撃強度となる粒子充填量は40wt％であった。 以上の結果から帯電防止剤処理CaCO{sub}3充填複合材料にはCaCO{sub}3粒子近傍のPPマトリックスに粒子表面から帯電防止剤が拡散した領域が存在していることが明らかとなった。 一定の粒子充填量以上でこの領域がマトリックス中で重なり合うことにより複合材料の帯電防止機能が発現すると考えられる。