新規アゾベンゼン色素結合型非線形光学ポリマーの合成と特性評価

摘要

我々は、光変調器などへ実用化可能な、優れた特性を有する非線形光学(NLO)ポリマー材料の開発を目指し、新規なアゾ色素を側鎖に有するNLOポリマーの合成と特性評価を行っている。アクセプターとしてフラン誘導体(TCF)を有する色素を側鎖に持つ、PMMA骨格のNLOポリマー2RTCF、及びチアゾール含有の2RTTCF を合成した。 これらは典型的なアゾ色素含有ポリマー2RDCVと比べて、それぞれ2倍、3倍の光非線形性を示し、色素濃度8.3mol％の2RTCFでは、通信波長13pmでx{sub}33は42.6pm/Vと高い値を示した。 しかし、2RTCFと2RTTCF は2RDCCVよりも熱安定性が低く、高T{sub}gマトリックスへ導入する際に問題がある。 一方、アクセプターとして2- フェニニルテトラシアノブタジェニル基 (Ph-TCBD)を有する色素を側鎖に持つNLOポリマーは、剛直なドナーを容易に導入できることから、耐熱性の高いNLOポリマーの実現が期待できる。 剛直なドナーとしてジフェニルアミノ基を有するTPA-Ph-TCBD-Oでは、分解温度が349°Cと非常に高かったが、光非線形性はジエチルアミノドナーを有するDEA-Ph-TCBD-Oよりも小さくなった。