モバイル端末のGPS時刻を用いた片道伝送遅延時間測定の測定精度

摘要

ブロードバンドネットワークを介したリアルタイムな遠隔機器制御技術の研究を進めている。遠隔機器制御の操作特性に大きな影響を与えるネットワークの伝送遅延を様々な場所において手軽に測定することを目的として、携帯端末上で動作するソフトウェアツール（GPS timestamp sender：GTSS）を試作した。Google社のAndroid OSで動作する携帯端末の多くはGlobal Positioning System（GPS）機能を備えており、位置情報のみならず精度の高い時刻情報を得ることができる。GTSSはこの時刻情報をⅣデータグラムに書き込みサーバに向けて送信する。サーバがGPSと同期したクロックをもっていれば、送られてきた時刻情報と受信時刻との差分により片道伝送遅延を測定できる。ただし、Android OSは様々なタスクを同時動作させるため、IPデータグラムで送る時刻情報とIPデータグラムの実際の送信時刻との間に誤差が生じ、これが伝送遅延時間の測定精度を低下させる原因となる。本稿ではGTSSを用いた伝送遅延の測定精度について調べた結果を示す。このような片道伝送遅延時間の測定技術の有効性について考察する。