空中音響画像を用いた呼吸·心拍による体表面の2次元変位の非接触計測

摘要

現在，広く普及しているバイタルサイン計測は，センサを体に接触，または近接させるシステムが主であるため，常時モニタリングやセンサを接触，携帯させることのできない状況では使用することができない．本研究では，人体に超音波を照射し，体表からの反射波の時間変動を解析することで，呼吸，心拍による胸部変位を計測する手法について研究を行っている．本報告では，M系列パルス圧縮と空中音響画像の位相追尾により，胸部の2次元変位を計測する手法について述べる．まず，1つの送波器からM系列変調信号を送信し，2つの受披器から得られる受信信号と送信信号との相互相関波形を取得する．続いて，2種類の相互相関波形から空中音響画像を作成し，その高輝度部を体表の反射点とする．そして，前後のフレームにおける反射点の位相を追尾することで分解能以下の2次元変位を計測する．最後に，体動の影響のない仰臥位·脱衣状態および立位·脱衣状態の被験者の呼吸，心拍を観測する実験を行い，提案手法の評価を行う．