日本口腔科学会の生い立ち

摘要

わが国における歯科口腔外科の教育は，古くは，医方に，韓医方さらに支那医方，印度医説が混入し，大宝元年（701）に制定された大宝令を承けて，養老令の医疾令（717）に耳目口歯の専門科として，修業4年の年限を定めたとされるが，その後，歯口科，口中科などとも呼称された。 また，外科の一分科として，医学の一分野としても取りあげられ，医歯一体として存在して来た。 其の後，南蛮医学，西欧医学が長崎出島を門戸として輸入され，漢方も見直されていった。 明治に入り，文明開化に伴う欧米化により，長崎の医学伝習所は東京の大学東校に移され，東京帝国大学が発足し，医科大学外科学教室に所属した石原久助手（慶応2年生れ，明治27年帝国大学医科卒業）が，明治32年に歯科学研究の為，滴3年間米国及び独国へ留学を命ぜられ，明治33年（1903）には助教授に昇進され帰朝後の明治36年10月，歯科学教室主任として歯科外来を開設された。 そして，大正4年（1915）に，石原久，教授昇任に伴ない歯科学講座（昭和30年7月，河野庸雄教授によって口腔外科学教室と改称さる）が創設され独立した。