東南アジア熱帯林の哺乳類（2)ボルネオ島の有蹄類

摘要

「東南アジアの熱帯林の哺乳類」シリーズ2回目 の今回は，有蹄類がテーマである。有蹄類はその名 の通り蹄を持つ動物で，蹄の数が奇数か偶数かで奇 蹄目と偶蹄目に大別される。前者はゥマ，サイ， パクの3科なのに対し，後者はイノシシ，ラクダ， マメジ力，ジヤコウジ力，シカ，ゥシ，キリン，そ の他多くの科から構成されている。また有蹄類を広 義に解釈すると，奇蹄Rと偶蹄Hに加えて，ゾゥと いった長鼻目なども含めることもある。偶蹄目の中で大半を占めるのは，シカゃゥシなど の反芻動物である。彼らは一度飲み込hだ食物を吐 き戻し再度咀嚼するいわゆる反芻によって食物を効 率良く消化するだけでなく ，胃の中にいる微生物に セルロースを分解してもらい吸収する。さらに微生物自身をタンパク源としても利用している。一方， 奇蹄目は後腸で食べ物を微生物に分解してもらい吸 収するので，反芻動物に比べて消化吸収にかける時 間が短く効率が悪い。奇蹄目の種数が極端に少ない のは，反芻動物との競合に敗れたからではないかと 考えられている。