脳腫瘍の温熱治療を目的とした自動インピーダンス整合機能を有する空胴共振器加温システムの設計·試作

摘要

本自動インピーダンス整合システムでは，インピーダンス整合が不完全の際に発生する反射波電力をフィードバックし，このフィードバック値が最小となるように，入出力側の負荷である可変コンデンサ容量（VC1およびVC2）をコンピュータ制御することによって自動インピーダンス制御を実現している．なお，本研究で提案している空胴共振器を用いた加温方式と自動整合システムとの組み合わせに関するアイデアとその有用性については，著者らの先行研究において，速報的に述べている．ここでは，臨床において，実際に治療を担当する医師本人が操作できるレベルの加温システムの構築を目指して，さらに本格的に本自動インピーダンス整合システムを加温システムに組み込み，加温実験を実施し，この加温実験結果とこれまでの手動インピーダンス整合システムによる加温実験結果との比較検討を行った．その結果，本研究で提案している自動整合システムを用いることで電圧定在波比1.1以下の高い整合精度で，インピーダンス整合作業を自動化でき，非侵襲的空胴共振器加温システムの臨床応用への可能性を明らかにした．