構造·機能·ユーザ体験のデザイン差分マップを用いた発想創出

摘要

現在，製品（モノ，コト）の設計／デザインの分野では，「どう造るか」よりも上流の「何を創るか」の段階での革新的な発想が，より良い生活や社会の実現や，産業的競争力の点で重要となっている．何を創るかを考えるにあたり，従来工学設計の分野では，機能（function, F），挙動（behavior, B），構造（structure, S）の概念が用いられてきたのに加えて，近年，デザインやヒューマンインタフェースの分野などでは，ユーザ体験（user experience, UX）の概念が注目されている．一方で近年の研究により，IT（information technology）や機械学習などのAI（artificial intelligence）が人間と同等かそれ以上のタスクを実行できる可能性が，学術的にも実用的にも注目されている．本稿では，人間（human intelligence）とIT, AIの連携による協創的知能（collaborative intelligence）（図1）により，構造，機能，ユーザ体験の観点から，設計／デザインにおける革新的発想（innovative ideation）を創出する理論，方法論および基盤ソフトウェア技術の研究の試みについて紹介する．