ディジタル·トリプレットの人材育成

摘要

昨今Industrie4.0に代表されるように，生産システムをサイバー化してディジタルツイン（物理社会と情報社会）を構成し，AIを活用して最適化する試みが進hでいる．しかしながら，この仕組みでは，我が国の製造業が得意な現場のカイゼンや現場の熟練者の暗黙知を十分に活用できていない部分がある．また，「ディジタル技術を前提としていなかった従来型の暗黙知を，ディジタル技術を前提とした今後の社会の中でどう進展させるか」という問題も存在する．さらに人材育成の観点から考えた場合，生産システムにおけるディジタル技術の進展による，生産システム構築技術の変容に対応した教育体系が確立できていない．また，現場の生産システム技術者がディジタル技術を駆使した新しい生産システム技術をまだ体得できていない問題点も存在する．すなわち，上記の知識を有する，現場力を有する人材の育成が急務である．そのような背景のもと，我々は，平成30年度経済産業省産学連携ディジタルものづくり中核人材育成事業の支援を受け，教育プログラム開発を行った．本解説記事ではその事業の内容を中心に述べる．