国産ジェットエンジンの新展開：極超音速予冷ターボジェットエンジンの開発研究

摘要

将来型宇宙輸送機として，コスト，安全性，信頼性，運用性の面で優れている完全再使用型二段式スペースプレーン（TSTO: Two Stage To Orbit，図1左）を提案し，鍵技術である液体水素を燃料とした極超音速予冷ターボジェットエンジンの研究開発を進めている。 また，宇宙航空研究開発機構(JAXA)の長期ビジョンとして「マッハ5クラスの極超音速実験機の開発」が示され，本エンジンを極超音速航空機用（図1右）として利用することも計画されている。 ジェットエンジンの飛行領域を極超音速域まで拡大した場合，最大の技術課題は，主流空気の高温化への対応である。マッハ6で飛行した場合，主流全温は1,670Kに到達し，金属製の圧縮機では耐えられない上，燃焼室内での燃焼生成物の解離が激しくなり，推進エネルギを取り出しにくくなる。 そこで，燃料である液体水素の低温側のエネルギを活用する空気予冷却器（プリクーラ）を搭載した予冷ターボジェットを提案した。