燃焼の数値シミュレーション：燃焼器の数値シミュレーション

摘要

近年における航空用および産業用ガスタービンでは，省エネルギーの観点から燃料消費率の改善が，環境保全の観点から騒音とエミッションの低減が求められ，その開発においてはサイクルの高温·高圧化に加え低騒音化，低NO{sub}x化などが重点的に指向され実施されている。 その主構成要素である燃焼器については，従来からの要求である小型·高負荷化技術や高性能冷却技術の開発に加え，低NO{sub}x燃焼技術が重要な開発課題となっており，燃料噴射弁の改良やライナ冷却構造の高性能化，ステージング燃焼技術や予混合燃焼技術の開発が積極的に進められている。 このような最先端の技術を必要とする燃焼器を，短期間かつ低コストで開発するためには，上流行程である設計作業の効率化と設計結果の信頼性向上が重要なファクターとなっている。 そのため，最近では多くのガスタービンメーカや研究機関において，従来の設計手法をベースにコンピュータを用いた数値シミュレーション技術が設計·開発の各段階で有効に利用されている。本稿では，燃焼器における数値シミュレーション技術の現状を簡単にまとめた後，当社での燃焼器設計におけるその取り組みについて，いくつかの燃焼器の開発を例に取り上げて紹介する。