新潟県の大気中揮発性有機化合物濃度について

摘要

新潟県では1997年度から揮発性有機化合物(VOCs)9物質（以下，優先取組9物質）を含む19物質について，一般環境4地点，固定発生源周辺（発生源周辺）4地点，幹線道路沿線（自排局）1地点の計9地点で有害大気汚染物質モニタリング調査（以下モニタリング調査）を実施している。 このうち優先取組9物質のモニタリングは，一般環境1地点（長岡工業高校局）発生源周辺4地点（中条局，燕局，西福島局，大崎局）及び自排局1地点（城岡自排局）の計6地点で実施している。 優先取組9物質等VOCsの調査に関しては，当県を含めいくつかの自治体も実施し，その結果が報告されている。また，水戸部らはモニタリング調査の結果から，高濃度汚染が確認されたベンゼンについて詳細調査を実施し，ベンゼン汚染の範囲やベンゼン以外の項目との関連性を調べることにより，発生源の推定を行った。 そして，発生源対策を行うことによりベンゼン濃度を低減できた事例を報告している。優先取組9物質以外のVOCsを調査することは，VOCs汚染発生源の推定や未知の汚染源を把握する上で今後ますます重要となる。 ここでは，1999年度から2003年度の5年間，キャニスター－GC/MS法で測定した優先取組9物質を含むVOCs40物質の調査結果について報告する。また，離島におけるVOCsの調査事例が少ないことから，過去に調査未実施であった佐渡地域について，大気中濃度レベルの把握のため，2003年度に佐渡地域のVOCs濃度についても測定したので併せて報告する。