環境試料中の臭素系難燃剤の測定方法開発－LC/MS/MS法によるHBCD異性体の測定

摘要

欧州では，RoHS指令(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment)が2003年1月に施行され，今年（2006年）7月以降に上市される製品に対し適応されることになった。この中で臭素系難燃剤として指定されているものにポリ臭素化ビフェニール(PBB)，ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDE)等があり，規制対象物質となっている。 日本国内では現在，テトラプロモビスフェノールA(TBBP-A)が主に使用されているが，今後代替品の一種としてヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)が着目され，既に年間約2200トンが使用されている。 HBCDにはα-，β-，γ－体の3種類の構造異性体が存在し，工業原体（製剤）ではγ－体が主成分であるのに対し，環境試料中ではα－体の比率が高いことが報告されている。また，HBCDはその物理化学的特性から環境中や生態系内への蓄積が明らかになってきている。 但し従来のGC/MS法では測定時の熱転移等により異性体別の同定定量は困難であった。 今後，環境中でのその発生源や環境動態を把握するためには，異性体別の測定が望まれる。 従ってLC/MS/MS法による異性体別の高感度測定方法の開発と環境試料への適応について検討した。 尚，本検討は独立行政法人国立環境研究所との共同研究として実施したものである。