独立行政法人化に向けて公設試における産学公連携のあり方

摘要

東京都立産業技術研究所は東京都の中小企業を技術面から支援する公設試験研究機関（公設試）です．どこの府県とも同じように地場産業の技術ポテンシャルアップと産業振興支援を目的として，依頼試験，技術相談，研究活動を行っています．中小企業からの期待は，製品の品質証明，製品の開発改良，製品トラブルの解明が大きく，ほかに従業員の教育や新技術習得など，幅広い期待が寄せられています（図1）．特に，依頼試験については利用料金が，中小企業の支援という行政課題から民間に比べて安く設定されているために利用も多く，試験証書の発行は平成16年度で65,946件にもなります．技術相談も47,566件もあり，電話による問い合わせには時間が足りなくなっています．インターネットによる相談受付も実施していますが，内容を正しく伝えるには，やはり対面相談が重要なこととなります．東京都の産業の特徴は都市型ということで，精密機械加工，金型産業，印刷メディア関連，エレクトロニクス，精密計測装置などで，醸造はほとhど無く，繊維生産は年々規模が縮小し，現在の生産量は総生産の0.2％にまでなっています．