射出発泡ポリスチレン樹脂の内部構造に及ぼす制御因子の影響

摘要

近年，省資源，省エネルギーなど環境に配慮した素材の開発やそれらに関するさまざまな成形技術が鋭意検討されている．発泡プラスチックもそれらの一つであり，樹脂の中に気泡を導入することにより使用する材料を低減することができる．しかし，発泡を行う際に化学的発泡剤や物理的発泡剤を用いているが，それらは有害であったり，樹脂の性質を変化させたり，爆発性を有しているといった危険なものも少なくない．それらの問題を解決する方法の一つとしてマイクロセルラープラスチック（Microce11ular Plastics：MCP）と呼ばれる発泡体がある．MCPの特徴の一つは，発泡剤として超臨界状態の二酸化炭素や窒素などを物理的発泡剤として用いることである．物理的発泡剤を用いることにより，発泡剤や発泡剤の分解成分は製品の中に残留せず，発砲後の樹月旨の性質を変化させることがない．また，発泡剤に爆発性等が無いことから製造工程で防爆設備を必要とせず，製造後すぐに出荷することができるという生産工程での利点もある．さらにMCPは微細な気泡を導入することにより，発泡体にもかかわらず強度の低下を抑えかつ諸特性の向上も期待できるといった特徴も有している．