CFRTPのベース樹脂分子量が含浸性及び機械的特性に及ぼす影響

摘要

近年，二酸化炭素排出規制や，ハイブリッド自動車，電気自動車などのバッテリーによる重量増加対策から自動車の軽量化がより求められており，密度が鉄の1／4である炭素繊維強化複合材料への期待が高まっている．従来の熱硬化性樹脂をマトリックスとしたCFRP（Carbon Fiber Reinforced Plastics）は，硬化処理に時間がかかる上，リサイクルが困難であるなどの問題がある．これに対し，近年これらの問題を解決できる材料としてCFRTP（Carbon Fiber Reinforced Thermoplastics）に関する研究，開発が盛hに行われている．特に，CFRTPのマトリックスである熱可塑性樹脂は融点以上に加熱しても粘度が高いため，繊維束内部への樹脂の含浸性に課題があり，これに着目した研究が数多くなされている．例えば，現場重合型ポリアミド6（PA6）を用い，粘度が低いモノマー状態で繊維束に含浸させた後に，加熱重合しCFRTPとする取り組みが行われている．また，含浸距離に着目し繊維束と樹脂の距離を短くするために，混繊糸やカバーリング複合糸を用いたCFRTPの研究も進hでいる．