酸化防止剤·光安定剤の相乗効果と拮抗作用

摘要

添加剤の技術開発の進展に伴い，プラスチックは様々な用途に適用され，人々の生活を豊かにしてきた．1960 年代以降，酸化防止剤及び紫外線吸収剤は，基本的な添加剤としてプラスチックの加工安定性，耐熱性及び耐候性の向上をもたらした．さらに 1970 年代になってヒンダードアミン系光安定剤（HALS）が市場に紹介されてから，プラスチックの光安定化技術は飛躍的に進歩してきた．近年，産業の複雑化，市場の要求の高度化に伴い，基本的な酸化防止性，耐候性に加え，変色，耐熱性，分散性，耐酸性などの課題が指摘され改善が望まれるようになってきた．これらの課題に対応するためには，添加剤単体の性能だけでなく添加剤を併用した場合の相乗効果および拮抗作用について理解することが重要である．本稿では，プラスチックの熱と光による劣化と添加剤による安定化について説明した上で，プラスチック添加剤を使用する上での相乗作用と拮抗作用，使用環境における不具合と対策について概説する．