射出成形機のホッパー下における樹脂ペレット噛込み状況の可視化解析II－ホッパーロ形状の影響

摘要

射出成形機において，加熱シリンダ内への樹脂ペレットの噛込み状況およびその後の可塑化スクリュによる樹脂ペレットの輸送状況は，可塑化·計量過程に大きな影響を与え，成形品の品質を左右する．精密な成形を行うためには，それらの安定化が重要な課題である．著者らはホッパー下部における樹脂ペレット噛込み状況の可塑化·計量過程に与える影響を調査するため，供給部とホッパー下噛込み領域を直接観察できる可視化加熱シリンダを用いて，7種類の樹脂ペレットの噛込み挙動とスクリュ表面温度，ペレットの固体摩擦係数との相関解析を行い，特定のPBT における噛込み不良現象の生成機構を明らかにしだ）．また，PPのペレット寸法と形状が固体輸送領域での発熱現象とペレット移動速度に及ぼす影響の評価，各種POM における噛込み開始領域でのペレット移動速度分布の計測評価の報告もなされている．これらは材料種類，ペレット形状，壁面温度の因子を評価したものであったが，これらの因子に加えて，ホッパーロ形状，スクリュ形状が噛込み挙動に直接関連することは経験的に広く知られていた．しかしながら，ホッパーロ形状によりペレット挙動がどのように変化するかの解析には，各種ホッパーロ形状下で噛込み領域を直接可視化する必要があり，これまで明らかにされていなかった．そこで本研究では，ホッパーロ形状の可塑化過程，とりわけ固体ペレットの輸送状況に与える影響の評価を目的として，同一のスクリュ形状の下に，3種類のホッパーロ形状を有する石英製可視化ブロックを装填し可視化解析を実施した．ペレット挙動を直接可視化し比較観察することにより，樹脂種類および粉砕材を含むペレット形状，さらには可塑化能力との相関解析を実施した．