熱工学からみたプラスチック材料の味わい

摘要

令和最初の新年をなhとか無事に迎えることができ，めでたい気分に浸る間もあればこそ，すぐに令和最初の年度末が迫っている．『成形加工』をご覧の皆様もそれぞれに忙しい時間をお過ごしのことと思う．2020年4月号は「サーマルマネージメント－材料·計測·シミュレーション－」特集である．筆者は機械工学における熱工学分野を研究のベースとしており，中でも加熱や冷却といった熱移動を伴う材料加工技術に着目し，主に熱可塑性プラスチックスの成形加工に関連する取り組みを行っている．周知のとおり，プラスチック材料の熱物性は材料を構成するモノマーや，その高次構造により変化する．さらに最近は，熱物性をドラスティックに変化させるだけでなく複合的な機能発現を狙って，微細発泡構造の導入や添加する高熱伝導性フィラーの三次元配置のコントロールといった取り組みが進hでいる．本号では材料物性の予測技術までをも含む興味深い解説が取り上げられているため，それらと重複する内容は避け，もう少し引いた視点からサーマルマネージメントの意義（味わい方）について考えてみたい．