コラム 緑化植物ど.こ'ま'で'き'わ'め'る常緑系キリンソゥ(Sedum takesimense NAKAI)

摘要

屋上.壁面緑化などの薄層基盤緑化用の素材として，常緑 系キリンソゥについて紹介したい。セダム糸录ィヒと称する薄層 基盤緑化には実に多くのセダム類が導入されており，力一 ペット状の草姿，種類によって異なる茎葉の色合い，黄色や 白色の開花景観，そして何より耐乾性に富む性質などから， 厳しい環境条件下にあっても一定の演出効果をもたらしてい る。それらは適切な植栽基盤整備と最低限の管理があってこ そ緑化枕態を持続させている。 ところで薄層基盤緑化にあたって，「とにかく強健なセダ ムは無いだろうか？」という質問をよく受けた。その際には， 筆 者の栽培経験に基づいて，「厳寒，酷暑，そして過湿条件 ともにキリンソゥCS. kamtschaticum)が強健ですので試し てください」と回答してきた。しかし「キリンソゥ」はこと ごとく却下された。その理由は，セダム類の中でも「キリン ソゥ」は宿根草でき地上部が枯れることから景観上問題が あるからであった。その矢先に多肉植物の趣味家仲間から 「とても強健なキリンソゥの仲間」として1本の苗を譲り 受けた。それは 1999年6月のことであり，直ちに都内で栽 培試験を開始すると同時に，同年10月より1年間日本クラ ィメートゾーン8に相当す る2地点〔神奈川県津久井郡： ZONE 8 b (年最低気温平均-6.7t 一9.4t：)，宮城県志田郡： ZONE8 a (年最低気温平均—9.4t―12.2)〕において生育な らびに越冬性に関する実験を実施した6)。葉の距歯ゃ古くな ると茶褐色になる茎など在来のキリンソゥとは異なる草姿で あり，茎力S半ツル性に発達すること，そして最も注目すべき ことはいずれの地点においても着葉状態で越冬することで あった。その時から便宜的に趣P未家仲間とともに「常緑キリ ンソゥ」などと称していた。もちろh正式な和名ではない。 国内では当時園芸的にもほとhど知られておらず筆者と数人 の趣味家力S栽培しているのみであった力5，直ちに:が「タ ケシマキリンソゥ、Scdum takesimense)」という固有種であ ることが分かつた。関係企業等にの苗の提供とともに普 及を呼びかけたが，苗の出所と企業の生産活動のモラル意識 からか試験的な栽培施工等に留まり，当時重の積極的 な普 及は認められなかった。