辛味ダイコン'あきたおにしぼり'における在来品種F，化の効果

摘要

'あきたおにしぼり'は，在来品種'松館しぼり'の自殖固定系統間の品種であるが，交配親の自殖系統と比 較して葉重，根重およびT-R率といつた収量特性において ヘテロシスを示す.一方，形態特性，根内部の特性および 成分特性（イソチオシァネート含量，糖含量）ではへテロ シス効果は認められず，優性効果または相加効果が認めら れた.'あきたおにしぼり'は，原品種'松館しぼり'と 比較して，形態特性および根内部の特性における均一性だ けでなく，イソチオシァネートや糖の含量および組成と いった成分特性でも均一性が高いことが確認され，'松館 しぼり'の商品化を図る上でF,化が有効であることが示 唆された.他方，在来品種'松館しぼり'は遺伝資源の多 様性を内在しており，その維持保存を継続する必要がある.謝辞本論文を作成するに当たり秋田県立大学生物資 源科学部准教授の高橋秀和博士には原稿の校閲および示唆 に富むアドバイスを頂いた.また'松館しぼり'の普及拡 大に尽力されるとともに，'あきたおにしぼり'の育成に あたって，長年にわたり選抜ほ場の提供および激励を頂いてきた生産グループ初代代表の故川村ヨシヱ氏には，ここ に記して謝意を表する.