リンゴわい性台木利用樹における晩材変色と耐凍性の台木品種間差異

摘要

リンゴ台木JM7は，マルバカイドウ‘セイシ’とM．9の交雑後代から選抜されたわい性台木であり，挿し木繁殖が容易で耐病虫性に優れ，多収性で高品質果実を生産できる（副島，1997）ことから，我が国におけるリンゴ栽培においてJM7台利用樹の栽培面積は増加しつつある（増田，2005）．M．9台利用樹が2000年春に発芽不良や枯死などの凍害症状を呈した一方，JM7台利用樹には症状が認められなかったため，JM7はM．9よりも耐凍性が高いとされていた（小野田，2001）．しかしながら，2004年に岩手県の一部園地でJM7台利用樹の樹勢衰弱症状が確認され（小野ら，2006），これが1999～2000年の冬の凍害による症状であると示唆された（工藤ら，2007）．症状の発生割合については‘ジョナゴールド’，‘きおう’，‘王林’で高く，‘ふじ’，‘っがる’，‘さhざ　で低いという品種間差異があり，衰弱が激しく進行すると枯死に至る場合があると報告されている（小野ら，2006）．