サトイモ球茎の粘質物蓄積と蓄積腔の発達様相

摘要

サトイモやヤマノイモなどに含まれ，強い粘性を示す粘質物は食感，食味を左右する重要な品質成分のひとつである．サトイモ球茎の粘質物は，アラピノースとガラクトースが構成糖であるアラピノガラクタンを主成分とする糖タンパク物質である（Lin、Huang，1993；滝ら，1972）．サトイモ球茎と同様，ナガイモ担根体（弘中ら，1990）やコンニャク塊茎（若林，1957）などにも粘質物が含まれている．しかし，これら粘質物の生理生態的な働きや地下貯蔵器官の発達における蓄積過程については充分解明されていない．若林（1957）はコンニャク塊茎内の粘質物蓄積腔とマンナン細胞の分布，形態を記録しているが，粘質物の蓄積および粘質物蓄積腔の発達過程は明らかにしていない．