鋳造金属中欠陥の渦電流非破壊検査

摘要

金属鋳造は比較的複雑な形状の製品を安価にかつ大量に生産するのに適しており、幅広い産業分野で活用されている。鋳造においては空孔が発生し製品の品質を著しく損なうことがある。しかるに空孔の存在を確認するためには製品を破壊する、あるいは超音波やX線などコストの高い非破壊検査手法を使わざるを得ず、低コストで安全な非破壊検査システムが求められている。そこで筆者らは渦電流非破壊検査を空孔の探知に適用することにした。非破壊検査において空孔をどのように人工欠陥として模擬するかが大きな問題である。金属中に空孔を正確に作成すること自体が困難である。また電位界解析を行なうにしても空孔を模擬するには3次元渦電流解析が必要となる。本論文では渦電流非破壊試験システムを構築し、空孔を模擬した人工欠陥について検討すると同時に、実際の鋳造物に対する欠陥探知試験を行なったので報告する。