レーザ照射条件が等方性R(Nd or Pr)-Fe-B/a-Feナノコンポジット磁石膜の作製に及ぼす影響

摘要

計算機解析により優れた磁気特性が示され注目を浴びたナノコンポジット磁石は，スパッタリング法による薄膜材料として，優れた磁気特性を示すNd-Fe-B系，Sm-Co系ならびにFe-Pt系ナノコンポジット薄膜磁石が報告されてきた。一方，本研究室では，デバイス応用を鑑みた10μmを超える膜厚の磁石膜開発の一つとして，エネルギー密度10 J/cm~2以上の紫外線波長YAGレーザをNd-Fe-Bターゲットに照射する事により，as-depo状態においてアモルファスNd-Fe-B相内にa-Fe相をコラムナー状に配列した自己組織化と，極短時間の熱処理後に極微細結晶化が進み，a-Fe結晶粒とNd_2Fe_(14)B結晶粒がナノオーダで分散的に配置する手法を見出し，厚み：10 μm以上，最大の用(BH)_(max)が120 kJ/m~3に達する等方性ナノコンポジット磁石膜を実現してきた。本研究では，その残留磁気分極値を大幅に減らすことなく，保磁力を向上させ，ひいては，(BH)_(max)を向上させることを念頭に，Nd_2Fe_(14)B相の異方性定数4.5 MJ/m~3に比べ大きな異方性定数(6.79 MJ/m~3)を有するPr_2Fe_(14)B相に着目し,Pr-Fe-B/a-Feナノコンポジット磁石膜の作製を検討したので報告する。