Fluidigm C1-システムを用いたシングルセル解析 -マルチ才ミクス解析を可能にする唯一のシングルセル自動調製システム-

摘要

近年，再生医療研究，癌研究など，不均一な細胞集 団を扱う研究分野においては，シングルセル解析が不可欠な手法となっている。シングルセル解析，特にqPCR やRNA-seqによるシングルセル遺伝子発現解析は，こ こ数年で広く普及し，急速な論文数の伸びを示してい る。2016年にはシングルセル解析によってヒ卜の全 セルタイプを明らかにするための"Human Cell Atlas Project' (https://www.humancellatlas.org/)がスタ一 ト し，解析技術の進展と情報基盤の整備が急速に進む ものと予測されている。この大規模プロジェク卜と並 行して，各研究分野ではより詳細なシングルセル解析 の需要が高まり，シングルセルのマルチ才ミクス解析 を高感度かつ高精度で行える技術の開発が必要とされ ている。Fluidigm社は，2013年からシングルセル解析 に特化したサンプル調整システムとして，C1TM Single-Cell Auto-Prepシステム（以下，C1システム）をリ リースし，すでに世界で600台以上（国内で60台以 上）の販売実縝を有している。本システムはマイクロ フル一ディクス枝術を利用してバルクの細胞サンプル から96または800個のシングルセルを物理的に単離 し（顕微鏡での確認が可能)，その後の細胞溶解，逆転 写，前増幅などの反応工程を，アプリケーション.に合 わせて自動で行うことができる装置である。増幅-回収されたcDNAまたはgDNAサンプルは，Fluidigm社 のBiomarkTM HDシステムを用いたシングルセルqPCR 解析やscGEM解析（遺伝子発現，DNAのメチル化， DNAの点突然変異解析を同一細胞で同時に行う解析手 法），次世代シーケンサ一を用いた卜ランスクリプト一 ム解析，ゲノム解析，ェピゲノム解析などに使用する ことができる。本稿ではマルチオミクス解析を可能に する，C1システムによるシングルセル解析の技術的な 進展について解説する。