家畜の生産と動物福祉

摘要

わが国には「愛護」という考えがあり、「福祉」はそれと混同されやすい。愛護とは、人間が主体の考えで、動物をかわいがり、保護することである。愛と言う情動が前提であり、保護の行為としては、殺生禁止並びに終生飼養を特に重視する。　一方、「福祉」とは、動物が主体の考えで、人間の愛が前提ではない。たとえ愛して無くても、動物の存在を尊重し、生きている間の幸せに配慮することを言う。幸せとは、苦痛の排除、環境への適応、そして行動の自由、である。福祉とは、愛護と異なりよりクールな態度であるがゆえに、人類の共通倫理となりうるのである。